窃盗とは、「他人のものを盗むこと」です。窃盗は、もっとも頻繁に行われている犯罪で、刑法の総認知件数の半分以上が窃盗罪です。少年事件においても、窃盗が最も多く認知されています。
なお、少年事件においては男女問わず「少年」と呼びますので、この記事でも未成年の人を男女問わず「少年」と呼びます。
窃盗には色々な手口があり、空き巣やピッキングなどの侵入窃盗、車上狙い、下着泥棒、スリなどが挙げられます。いわゆる「万引き」も窃盗にあたります。
少年事件においては、万引きなどのよくある窃盗の他、バイクや自転車を盗むバイク盗・自転車盗が多いように見受けられます。また、少年事件全体に言えることですが、友人とともに窃盗を行った共犯事件も目立ちます。
特に万引き、バイク盗や自転車盗などについては、少年の周囲で似たことをしている人がたくさんいる場合に「物を盗む」ということの重大性を軽視して安易に行われていることもあります。
窃盗事件で身柄拘束されるのは、被害額が大きい場合や常習性がある場合であることが多いです。
また、共犯事件であったり、容疑を否認している事件でも身柄拘束される可能性が上がります。
このような事件で身柄拘束がされるのは、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがあると判断されるためです。
少年が逮捕された場合、弁護士は、検察官や裁判官に「身柄拘束は必要ない」という意見を言います。この時に、ただ「身柄拘束は必要ない」というだけではなく、身柄拘束が必要ない理由や身柄拘束をしない方が良い理由を証拠とともに丁寧に説明します。
少年が実際に犯行を行っている場合、事実を丁寧に認めて反省を示し、証拠隠滅をしないことを理解してもらう必要があります。
具体的な方法としては、弁護士が少年とよく話をし、少年から真実を聞き出して一緒に上申書を作るとともに、証拠と合わせて提出する方法が有効です。
少年事件においては、少年が事件に巻き込まれてしまい、その場にいただけであるなど、実質的に悪いことをしていないという場合も多々あります。このような場合には、そのような状況を示す証拠を弁護士が収集し、提出することで、少年が悪くないことを理解してもらって身柄拘束を解いてもらうということも大切です。
事件に巻き込まれた場合について詳しくはこちらをご覧下さい
加えて、少年の場合、身柄拘束が解かれた際の環境調整が特に重要です。
裁判官や検察官は、少年の家庭や職場環境が少年に大きく影響を与えることをとてもよく理解しています。
少年が釈放された後に信頼できる大人が少年を支えられるという的確な情報が伝わることで、裁判官や検察官は少年を釈放しやすくなります。
一般に、刑事事件においては、被害者に被害弁償をしたり反省を示したりするということが処分を軽くするために大切です。
ですが、少年事件はそれだけでは足りません。
少年事件においては、少年の更生のための環境がしっかり整っている事が大切です。
少年の家庭や職場環境が整っており、少年を更生させようという信頼できる大人が存在すると言うことを裁判官や検察官に伝えていく必要があります。
また、少年自身の成長も大切です。
犯罪を犯してしまう少年は、他人の心境を理解したり、自分の行ったことの結果がどのようにつながっていくのかを想像する能力が低かったりします。
そして、少年自身は自分のこのような能力が低いことを認識していません。
ですが、周囲の大人が適切にこのことに気がついてあげることができれば、多くの少年は能力を伸ばしていくことができます。
そして、能力が変化したことを裁判官や検察官に伝えることができれば、ポジティブに受け止めてもらえるはずです。
検察官や裁判官は少年の可塑性(少年が変化して成長しやすいこと)をよく理解しているため、少年の良い変化を伝える事は少年がどのような処分を受けるかに影響与えると考えています。
少年の可塑性や保護者にできることについてはこちらをご覧ください。
少年が窃盗していない場合には、やってもいない犯罪で不利益な処分を受けないために、窃盗をしてないことを正確に裁判官や検察官に伝えていく必要があります。
特に、少年は大人に比べて未熟ですので、捜査機関の取調べにおいて不正確な答えをしたり、友人をかばって嘘をついたりしてしまいます。
このような未熟さの結果、実際にはやっていない犯罪をしたかのように見えてしまうことがあります。
このようなことを避けるためには、刑事事件に精通した弁護士が少年から丁寧に真実を聞き出し、裁判官や検察官に伝えるとともに、真実を裏付ける証拠を収集する必要があります。
実際には犯罪をしていないのだから正直に話していればそれで冤罪は晴れる、とは言い切れません。
やってもいない犯罪を疑われている少年の保護者の方は、刑事事件に精通した弁護士に速やかに相談してください。
少年事件が発生した際に少年がどのような大人に支えられるかは、少年の将来に大きく影響を与えます。
少年事件によるダメージを軽減するとともに、少年事件の経験を将来に生かせるようにするためには、信頼できる大人と、刑事事件に精通した弁護士のサポートが有益であると考えます。
上原総合法律事務所では、迅速にご相談を受けられる体制を作っています。
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弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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