安定した収入・安定した休暇など、安定イメージが強い公務員。
一生涯安定が約束されたと思われた公務員も、気の緩みから犯罪に手を染めてしまえば、それまでの生活は一変し、不安定な生活に追い込まれる可能性はあります。
そのため、できる限り、一度掴んだ安定を手放せぬように、手を尽くし、早期に事件を解決することが重要です。
当然、公務員だからといって刑罰が重くなるわけではありませんし、刑事手続き自体、公務員と会社員で異なることはありません。
ただ、公務員の場合、会社員とは違い、以下の3つのリスクが存在します。
そこで、今回は、元公務員であり、元検事の弁護士が、公務員が刑事事件を起こした場合の3つのリスクを説明するとともに、元検事集団である当事務所にできることをお話致します。
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公務員であるからと言って、必ずしも全員が全員、実名報道されるわけではありません。
しかし、公務員という職業は、公共性が高く、社会的関心(話題性)があるため、逮捕されれば、実名報道される可能性は高くなります。
そして、実名報道するか否かは、捜査機関又は報道機関の判断に左右されます。
そのため、弁護士においても完全に実名報道を回避することは難しいです。
しかしながら、各機関に報道がなされないように弁護士から求めることは可能ですし、報道のタイミングは逮捕時、送検時、及び起訴時が多いため、早期の釈放を実現することによって、報道される回数を減らし、リスクを最小限に抑えることは可能です。
早期の釈放を実現するための方策は以下の3つです。
欠格条項とは、公務員としての資格を失う条項を指します。
逮捕、勾留、裁判を受けることになっただけでは、欠格条項に該当しないため、失職はしません。
公務員が失職するのは、以下の場合です。
「禁錮以上の刑に処せられた」場合
(国家公務員法76条、36条1号、地方公務員法16条1号)
禁錮以上の刑に処されたとは、裁判で死刑、懲役・禁錮(執行猶予を含む)の判決を受けた者という意味です。
また、公務員が刑事事件で起訴された場合、休職させられる場合があります。
これを起訴休職と言います(国家公務員法79条2号、地方公務員法28条2項2号)。
起訴には、以下の2つがあります。
・ 公開の法廷での裁判を求める公判請求
・ 罰金又は科料の処罰を求める略式命令請求
起訴休職での起訴は、公判請求のことを指します。
そして、休職期間は、事件が裁判所に係属する期間と定められています。
つまり、起訴の日から判決確定日までの間、休職させられる可能性があります。
公務員が公判請求をされると起訴休職に追い込まれた上、有罪判決が確定すれば失職することになります。
失職すれば、これまで働き積み上げてきた退職金も支給されません。
そのため、公務員の場合、公判請求されないことが最も重要です。
多くの犯罪では被害者が存在し、公判請求を避けるために重要なことは示談です。
示談を行うことができれば、不起訴の可能性も高くなります。
仮に職を辞する事態となったとしても、退職金が支給されれば、当面の生活費の確保することができ、生活の立て直しが可能となります。
弁護士は示談交渉のプロでありますから、不起訴処分獲得に向け、最善を尽くします。
公務員が刑事事件を起こした場合、欠格条項に該当せず、罰金刑や不起訴であったとしても「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合」にあったとして、懲戒処分を受ける可能性があります。(国家公務員法82条1項3号)。
懲戒処分とは、以下の4つのことを指します。
① 免職
② 停職
③ 減給
④ 戒告
そして、これら4つの処分を任命権者から受けることになります。
懲戒処分の種類はどのようにして決められるのでしょうか。
国家公務員の場合、人事院で「懲戒処分の指針(平成12年3月31日職職-68)」が公表されています。
処分の決定に当たっては、非違行為の動機、態様や結果、故意又は過失の度合い、職員の職責等が考慮されます。
また、こちらの指針では、罪名ごとに免職、停職、減給、戒告のどれが適当かも示されています。
懲戒処分においても、懲戒免職処分となれば、退職金が支給されません。
できるだけ軽い懲戒処分で済ませる必要があります。
そして、懲戒処分は、おおむね刑事処分に比例することが多いです。
欠格条項でご説明したように、早期に被害者との示談を成立させ、不起訴処分を獲得することが何より重要です。
ここまで公務員における3つのリスクを説明し、刑事事件においては迅速な対応と示談が重要であることは分かっていただけたのではないかと思います。
私たちは元検事集団であり、捜査の流れやタイミングを熟知しており、迅速な対応を行うことができます。
また、検事時代を通じて、被害者対応も数多く経験しており、被害者の気持ちに寄り添った示談交渉を行うことができます。
公務員が刑事事件を起こせば、さまざまなリスクが生じます。
刑事事件で不起訴処分を獲得し、刑事弁護としては成功したとしても、公務員が職を辞した場合、実名報道などの影響により、再就職先を見つけ出すことが困難になることも想定されます。
しかし、私は、たとえ、そのような困難に直面したとしても、依頼者と一緒に一筋の光を見つけ、考えられる存在でありたいと思っています。
公務員の方からも多数ご相談をいただいてます。
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弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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