未決勾留日数とは?どれくらい算入されるのか

基礎知識
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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

第1 未決勾留日数とは

未決勾留日数とは、刑事事件で被疑者や被告人が刑事裁判の確定前に勾留されていた期間のことを指します。
この期間は、判決において科せられる刑の内容に影響を及ぼす重要な要素となります。

刑法第21条には、未決勾留日数の算入について以下のように規定されています。

 刑法第21条(未決勾留日数の本刑算入)

未決勾留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる。

ここでいう本刑とは、判決において言い渡される無期及び有期の懲役無期及び有期の禁錮罰金拘留並びに科料の刑を指します。

この規定により、裁判所の裁量により、判決確定前に勾留されていた期間が本刑に算入され得ることとなります。

勾留は、捜査・公判のために被疑者・被告人の身柄を確保することを目的とするものであり、刑罰ではありませんが、身柄拘束という点では自由刑(受刑者の身体の自由を奪う刑)の執行に似た点があることから、一定の場合に「刑罰に服したもの」と考慮できるようにするため、刑法21条が設けられているのです。

第2 未決勾留日数が算入されるとどうなる?

未決勾留日数が本刑に算入されたときは、算入された日数に相当する刑が執行されたものとみなされます

自由刑である懲役、禁錮及び拘留については、本刑における被告人の服役期間が、算入された日数分短縮されることとなります。

執行猶予が付された場合にも、執行猶予が取り消されて刑に服する可能性がありますので、未決勾留日数は算入され得ます。

執行猶予について詳しくはこちらをご覧ください

財産刑である罰金及び科料についても、未決勾留日数が算入され得ます。

その場合は、勾留の1日を何円に換算するかを定めて言い渡すこととなります(この場合の判決文は、通常「未決勾留日数中〇日を、その1日を〇円に換算して、罰金刑に算入する」とされます。)。

つまり、算入された日数×1日の換算額分、罰金及び科料が減額されます

未決勾留日数が本刑の全部に参入されたときは、裁判の確定と同時に刑の執行が終了したことになります(この場合の判決文は、通常「未決勾留日数中、刑期に満つるまでの分をその刑に参入する」となります)。

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第3 未決勾留日数の具体的な計算

裁判所の裁量により参入できる未決勾留日数は、勾留状の執行の日から、判決言渡しの前日までの間に現実に拘禁されていた日数です。

釈放当日や収監当日も1日として日数に含まれます。

鑑定留置の期間、少年が観護措置により少年鑑別所に収容されていた期間は、法律上、未決勾留日数とみなされます。

一方、逮捕から勾留までの72時間や勾留執行停止、保釈で釈放されている間の日数は未決勾留日数には含まれません

出入国管理及び難民認定法に基づく収容もこれには含まれません。

第4 未決勾留日数は必ず算入される?

未決勾留日数が本刑に算入されるかどうかは、裁判所の裁量に委ねられており、未決勾留日数の全部が参入されるわけではありません

また、一般的に、その事件の捜査、公判に通常必要な期間の勾留は被告人の甘受すべきものであり、これを超える期間の勾留が参入されるべきであると考えられています。

この考えから、裁判所は、実務上、原則として、起訴後の勾留日数のうち「裁判準備のために通常必要とされる期間」を超えた日数のみを未決勾留日数として本刑に参入しています

「裁判準備のために通常必要とされる期間」は起訴から初公判までは30日、2回目の公判以降は各公判あたり10日と考えられています(ただ、これが絶対的な考えではなく、未決勾留日数の算入は裁判所の広い裁量に委ねられていますので、あくまで参考程度に捉えてください。)。 

合理的理由がないのに、長期間の未決勾留日数を全く算入しなかった場合には、量刑不当として破棄の原因になるものと考えられます。

このように、未決勾留日数の算入については、裁判所の裁量に委ねられているのですが、法律により当然に通算されるものもあります。

刑事訴訟法第495条1項は、上訴の提起期間中の未決勾留の日数について、

上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する

と規定しています。

つまり、判決を受けてから上訴を申し立てる前日までの日数(上訴を申し立てない場合は判決言渡し日から15日間)は本刑に当然に算入されます。

また、同条2項により、検察官が上訴を申し立てたときや、被告人が上訴したところ原判決が破棄されたときは、上訴の申立ての日から裁判の日の前日(上告審では判決が確定する日の前日)までが当然に算入されます。

      第5 お気軽にご相談ください

      未決勾留日数とは、判決確定前に身柄拘束されていた期間を指し、刑法21条に基づいて刑期に算入される可能性があり、この算入によって、実質的に刑罰は軽くなることとなります。

      しかし、未決勾留日数の算入は裁判所の裁量に大きく委ねられておりますので、具体的な適用について知るためには、刑事事件に通じた弁護士に相談する必要があります。

      上原総合法律事務所は、元検事 8名を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

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